ラポール吉井の給食調理
給食調理とは、施設の調理場において、管理栄養士がカロリー、タンパク質、脂質等を計算しながら献立を立てて、その献立に沿って調理師が調理をし、お客様に提供する調理のことです。・・・まあ、大体誰でもわかりますよね・・・でも一応説明してみました(;’∀’)
上記の画像は、ラポール吉井のクリスマス会で提供させて頂く料理の中にいる「イチゴサンタ」です。このサンタを約60体ほど作りますが、施設の給食調理の中では結構手が込んでいると思います。
と前置きは置いときまして・・・「高齢者施設の給食調理ってどんなの?」と興味のある方もいらっしゃると思います。そこで、高齢者施設の給食調理やラポール吉井での給食調理について説明させて頂きます。
もし、給食調理に興味のある方がいらっしゃれば、参考になると思います(^_-)-☆
- 給食調理って?
- 給食調理は専門的?
- 給食調理の簡単なところと難しいところは?
- ラポール吉井の給食調理の特徴
- まとめ
- 給食調理も立派な専門調理である。
- 給食調理の特徴としては「広く浅く」。
- 給食調理の簡単なところは「専門知識や細かい技術」が求められない。
- 給食調理の難しいところは「大げさに言えば失敗が許されない」、「食事形態や制限がある」、「調理スピードが求められる」。
- ラポール吉井の給食調理の特徴は「他の施設より素材にこだわっている」、「手作り重視」、「イベント食のこだわり」。
- ラポール吉井の調理員で働くメリットは「調理技術の向上」、「多職種とのつながりが強い」。
- デメリットは「調理技術の向上心がないとキツイ」、「配膳車への盛り込みがキツイ」
- 「料理することは、我々の文明の促進させたすべての技術の白眉(はくび)である」・・・ブリア・サヴァラン
給食調理って?
「給食調理って簡単そう!!」等と思う方もいらっしゃいます。板前さんやコックさんなんか給食調理を下に見る傾向があります。「どうせ出来合いを使っているんでしょ?」、「和食や洋食みたいな専門料理じゃないんでしょ?」みたいな感じですかね💦
簡単な面もありますが、もちろん難しい面もあります。ちなみにこのホームページの記事を書いている私は、現在「支援相談員」ですが、以前は「調理師」でラポール吉井や他の施設で給食を作っていました.。その他にも飲食店の経験もあります。
なので、ある程度は調理師についても語る事はできます(/・ω・)/
確かに出来合い(調理済み)の料理を使っている施設は多いです。特に朝食なんかは出来合いの「金平牛蒡」や「切り干し大根の炒め煮」等を皿に盛るだけで、ご飯とみそ汁のみしか作らないところも多いと思います。
ですが、ラポール吉井は8割る程は手作りが多いです。ちなみに、下手な調理師が作る料理よりは出来合いの方が美味しい場合も多々あります。しかし、きちんとした調理師が作れば、出来合いとは比べ物にならないほど美味しいと私個人は考えています・
まあ、まずは給食調理について簡単に説明します!
給食調理は専門的?
もちのロンです・・・表現が古かったですかね(-_-;)。給食調理は厚生労働省が認める専門調理の1つです。ちなみに、厚生労働省が認める専門調理とは、「和食(日本料理)」・「洋食(西洋料理)」・「中華(中国料理)」・「寿司」・「麵」・そして「給食」です。
給食調理も立派な専門調理ということです。それに伴ったノウハウは、他の専門料理とは違います。他の専門調理はある意味「深く狭く」を追究すると言っても過言ではありません。もちろん、フランス料理が和食等の調理を取り入れた「ヌーベルキュイジーヌ」みたいな、その専門調理の枠をはみ出して料理をする事はありますが、基本的に「和食」や「洋食」等の土台が決まっています。
しかし、給食調理は上記の他の専門調理もお客様に提供しますので、個々の分野の専門的知識だけではいけません。和・洋・中・麺等の幅広い料理の知識が必要になります。また衛生的なところは調理カテゴリーの中で1番厳しいと思います。
ただ、幅広い知識は必要になりますが、個々の専門分野の深い知識や技術はあまり必要ないです。簡単に言えば「浅く広く」を追究すると言っても過言ではないです。
給食調理の特徴としては「個々の嗜好に沿うことが難しい」ことも挙げられます。基本的には大量調理になりますので、「この人は濃味」、「この人は薄味」、「この人は○○が嫌いだからいれない」等の対応があまりできません。
ラポール吉井では、なるべく個々のお客様の嗜好や状態に合わせて調理を工夫するようにしてはいますが、やっぱり他の専門調理と比べて限界があります。
また、同じ給食調理でも「出来合い」を主に使うところと「手作り」で主に作るところの違いや、「委託」といって、他の給食会社に頼んで調理をしてもらうところと、その法人自前の職員が調理をするところと分かれます。
そして、高齢者施設の給食調理は主にその施設で作りますが、大皿やバットに作ったものを入れて介護現場で盛り付けをする場合と、配膳車に一人一人の盛り付けた食事を入れていく方式と分かれます。ちなみにラポール吉井は後者です。
ラポール吉井のある南さつま市ではありませんが、おそらく都会の大きな法人では「セントラルキッチン方式」をとっているところもあるんじゃないかなぁ~なんて思います。セントラルキッチン方式とは簡単に言えば「給食センター方式」ということです。
1ヶ所の大きな調理施設で、複数の施設の食事をつくり配送するという形式です。同じ給食調理でも、様々な特徴や種類が個々の施設によってあるということです。
給食調理の簡単なところと難しいところは?
簡単なところ
難しい調理技術はあまり必要ないところです。もちろんあれば越したことないです。例えば和食であれば人参を「ねじ梅」に切ったり、大根の「桂剥き」や里芋の「六方剥き」なんかできなくても問題ないです。
ですが給食調理はそんな細かい作業は求められません。「拍子切り」や「乱切り」なんかを出来れば大体OKです。
魚や肉をさばくこともありません。基本冷凍の切り身や細切れ等が来ます。野菜は皮むきからしないといけないですが、魚や肉をさばくことがないので、そこも簡単なところですね。
また、難しい出汁とりなんかもいりません。和食であれば「こぶ出汁×鰹節」で出汁を取ります。ちなみにこぶ出汁はグルタミン酸、かつおだしはイノシン酸と言ううまみ成分があり、この2つを組み合わせると、相乗効果でなんとうま味が8倍になるそうです。
洋食では「コンソメ」だったり、フランス料理であれば「フォンド・ボー」であったり、メチャクチャ時間もかかって難しいです。ですが、給食調理はそんな技術はいらないので、殆ど顆粒出汁しか使えません。
ちなみに、ラポール吉井では「こぶ出汁とカツオ出汁」だけは顆粒だけでなく、きちんとだしをとっています。まあ・・・それに顆粒出汁をいれたりもしますが(^^;)
とりあえず、深く細かい技術がなくても出来るというところですね!!なので、「誰でもできる調理」みたいに勘違いされるわけです。
難しいところ
難しいところを言えば、大げさかもしれないですが「失敗が許されない」ということです。例えば、飲食店で焼き魚一匹の注文を受けて焦がして失敗しても、お客様に謝り時間を頂ければ大抵やり直しがききます。しかし、給食調理はその日に使う生鮮の在庫が限られているため、簡単にやり直しは聞きません。
「100人分失敗しました(-_-;)」なんてしたら、その日の昼食なり夕食なりなんか出せなくなります。なので、その日にある在庫で必ずやりくりしないといけません。その分、失敗してもなんと美味しくなるように修正する技術も長けるようになります。
また、早くから調理作業を始めてはいけない!ということです。給食調理は「喫食2時間前」というルールがあります。簡単に言うと調理終了してから2時間までに召し上がって頂かなければいけません。
しかも、前日に当日出す料理の下ごしらえ等も禁止されています。なので、前の晩に仕込みをすることができないです。せいぜい野菜を切るまでです。なので、大量調理を短い時間でしないといけないというところは難点です。言い換えれば「調理スピード」が求められるということ。
そして、個人個人の「食事形態(食事の大きさ)」と「食事制限」等の違う料理を提供しないといけないということもあげられます。
まずは、「食事形態」ですが、出来上がったお食事を「普通」・「一口大」・「キザミ」・「細かいキザミ」・「ソフト」と大体5個の形態の食事を個々のお客様の嚥下状態によって作り分けなければいけないです。米も、「普通」、「軟飯」、「全粥」とそのお客様の状態に応じて分けます。
また、「食事制限」と言いますが、「心臓食」・「糖尿病食」・「腎臓食」・「潰瘍食」・「脂質異常食」等、個々のお客様の病状によって、塩分を控えたり糖質を控えたり、カリウムを制限したり食物繊維を制限した料理を提供しないといけないということです。
また、アレルギーを持っているお客様や肉が食べられないお客様、魚が食べられないお客様等もいらっしゃいます。アレルギーに関してはどの施設も必ず個別対応しますが、嗜好についての個別対応は施設によって違うと思います。ちなみに上記でも述べましたがラポール吉井では、嗜好についてもなるべく個別化しています。
以外に給食調理も給食調理ならではの他の専門調理と同じく、難しい面もあるということです。では、次はラポール吉井の給食調理の特徴をご紹介します。
ラポール吉井の給食調理の特徴
まずは、素材が良いということです。介護保険施設は1日3食で1445円と決まっていますが原価をあまり気にせず、なるべくいい素材を使用しています。肉や魚が国産なのはもちろん、野菜もなるべく国産のものを使用しています。
もちろんインゲンやほうれん草等の冷凍野菜は外国産のものもありますが、殆ど国産です。
大体の施設冷凍された魚を使用していますが、魚は生の切り身を使用しています。時期によってはお刺身も提供します。地元の魚屋さんから仕入れる新鮮な魚を使用しています。また、うな丼の時は鹿児島県大隅産を使用しているので、原価率がメチャクチャ高いです。
調理済みの出来合いを使っている施設が多い中、他の施設より手作りが多いということも挙げられます。8割は手作りの食事を提供察せて頂いています。もちろん、手作りが多い施設は他にもありますが、そこまで多くはないと思います。
おせちやお花見、敬老会やクリスマス等のイベントの食事にも結構力を入れている方だと思います。ちなみに上記の写真は、今年(令和5年)のおせち料理です。私も食べましたが、美味しかったです(^-^)。
また、職員は委託ではなくラポール吉井の職員です。私の住んでいる地域の病院や施設は、ほぼ委託です。委託が悪いわけではありませんが、自前の職員である分、他の職種との連携は取りやすいかと思います。ただ、調理員不足には頭を悩ませますが(-_-;)
「施設に入居されているお客様の1番の楽しみは食事です。また、家で暮らしている人はご飯が美味しくなければ他のものを食べられますが、お客様は提供されたご飯しか食べれないので、美味しい料理を提供しないといけない。」
という、理事長の想いのもと、食事に力を入れています。私も病院に入院した時は、食事が一番お楽しみでしたのでその通りだと思います。嫌いなメニューやおいしくない料理にあたったときは、ホントにがっかりするものです(;^_^A
ラポール吉井の調理員としてのメリットとデメリット
ラポール吉井で調理師として働くメリットとデメリットを簡単にご説明します。
メリットとしては、「自分の調理レパートリーが広がる」事です。家庭で料理をするときに、メチャクチャ役に立ちます。外食や中食(お弁当等)が増えてきて、家庭で調理する人も少なくなってきてはいます。
しかし、家庭で料理をする人もまだまだいます。家庭料理は献立を考えるのに苦労します。ですので、調理レパートリーが増えると献立を組みやすくなるので、役に立つという訳です。私も家庭で料理をしますので、給食調理で学んだことがメチャクチャ役に立ちます。
もちろん手作りですので、出来合いのものを使うより大変です。なので、あまり調理技術向上に無関心の人なんかにとってはデメリットになってしまいます。なので、手が込む分それがラポール吉井で働く調理員としての人によってメリットにもなりデメリットにもなるということです。
ただ、調理員みんながみんな調理をするわけではないです。皿洗いをして野菜を切るだけの職員もいますし、おやつの準備や配膳だけする職員、野菜を切るだけする職員や皿洗いだけする職員等、個々の年齢やスキルに合わせた仕事も可能です。ちなみに皿洗いはもちろん手洗いではありません。ベルトコンベアー式の洗浄機を使って洗います。
他のメリットとしては、多職種とのつながりが強いことです。ラポール吉井では厨房が困った時に多職種が手伝う場合もあります。私ももちろんその一人です。
以前、厨房職員がコロナになって厨房職員のほとんどが待機になったことがありました。その時は私を含め、リハビリ職員、介護職員も野菜霧や調理に加わり何とかお客様にお食事の提供ができました。
多分、他の施設や病院ではそんな事はできないと思います。
あと、デメリットとしては上記にも記載しましたが、配膳車に一人一人の盛り付けた食事を入れていく方式というところです。これは、マジで面倒くさいです。どの配膳車に誰の食事を入れ込むということをある程度覚えないといけないのがメチャクチャしんどいです。
下手したら、調理そのものの時間より配膳の時間の方がかかる場合もありますし、分らない時はマジでイライラします。覚えれば早いのですが、ラポール吉井では約90名以上のお客様がいらっしゃいますので、覚えるのもしんどいです。
まとめ
給食調理も立派な専門調理である。
給食調理の特徴としては「広く浅く」。
給食調理の簡単なところは「専門知識や細かい技術」が求められない。
給食調理の難しいところは「大げさに言えば失敗が許されない」、「食事形態や制限がある」、「調理スピードが求められる」。
ラポール吉井の給食調理の特徴は「他の施設より素材にこだわっている」、「手作り重視」、「イベント食のこだわり」。
ラポール吉井の調理員で働くメリットは「調理技術の向上」、「多職種とのつながりが強い」。
デメリットは「調理技術の向上心がないとキツイ」、「配膳車への盛り込みがキツイ」
「人」を「良」くすると書いて「食」になります。食事は人間にとって非常に重要なものです。それは、「生きていくため」の手段だけでなく、「人生を楽しむ」手段でもあり、「健康になる」手段にもなります。
そして、料理は人間特有の文化といっても過言ではないです。
「料理することは、我々の文明の促進させたすべての技術の白眉(はくび)である」・・・ブリア・サヴァラン
※白眉・・・多数あるもののうち、最も優れているものや人のたとえ
特に施設でのお食事は「お客様の1番の楽しみ」です。ですので、お客様が日々の生活で食事を楽しんで頂けるように、管理栄養士を初め、調理師と調理委員スタッフは日々奮闘しています。
もちろん、食べて頂くためには食事介助する介護職員や、食べやすい姿勢や食べやすい鵜器、嚥下状態の確認をするリハビリスタッフ等の多職種含め、ラポール吉井では「食」を大事にしています。
高齢者であるお客様に、栄養と嗜好のバランスがあるお食事を召し上がって頂ける様に、今後も務めていきます( `ー´)ノ