そもそも・・・介護保険ってどういう制度?
医療保険はご存じの方が多いと思います。それはそのはず、医療保険の制度はあまり分からずとも、基本的に生まれてから医療保険は使い続けるので、何となく身近な制度です。しかし、介護保険は、いざ親や祖父母が必要になったときしか利用しないので、そもそも「分からん!」といわれる制度です。
今回は、細かい事は置きながら、「介護保険って何?」ということを、ざっくりご説明させていただきます。
介護保険って何?
高齢化社会になっていくにつれて、介護問題が様々出てくるようになりました。また、核家族化も進み家族で親をみることも難しくなりました。そこで、「介護が必要な高齢者が誰でも受けれる介護サービスが必要じゃね?」ということで、1997年に介護保険法が成立して、2000年から介護保険法が施行され、介護保険が出来ました。
介護保険を簡単に言うと、医療保険の介護バージョンです。皆さんは毎月医療保険料を納める代わりに、医療が必要になったら所得に応じて1割~3割の自己負担で医療を受けられますよね!これを「国民皆保険制度」と言い、世界でも優れた制度の1つです。
それと一緒で、介護保険料を納める代わりに、介護が必要になったら1割~3割の自己負担で、介護サービスが受けられるという制度です。医療保険と違うのは、まず介護が必要になった時に市役所で手続きが必要です。そして、認定されないと使えません。
また、保険料を払うのは40歳からで、40歳~65歳未満は第2被保険者と言われ、特定の疾病により介護が必要になった場合に受けられます。65歳以上は「介護が必要になった!」と思って手続きして認定されれば使えます。
1922年に健康保険がつくられれ、1938年に国民健康保険が始まり、医療保険が誰でも使えるような仕組みである「国民皆保険制度」が出来たのは1961年です。それから比べると、介護保険は施行されて22年は立ちますが、まだ始まったばかりと言っても過言ではないです。医療保険は2年に1回改正がありますが、介護保険は3年に1回です。これから、まだまだ介護保険は変化していくと私自身は思ってます。
仕組みは?
介護保険は、要支援1、要支援2、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5の7段階の介護度があり、どれかの認定を受けます。もちろん元気な方は「非該当」となり、受けられない方もいます。まあ、介護が必要ない方は受けられないということです。そして、7段階の認定によって、受けれるサービスの量が変わって来ます。
要支援1~2は「予防給付」と呼ばれ、簡単に言えば「介護が必要にならない様に予防するためのサービスを給付する」ということです。まあ、そこまで介護が必要じゃない方が受けます。要介護1~5は「介護給付」と呼ばれ、「介護が必要なので介護のサービスを給付する」ということです。
要支援と要介護は細かく言うと仕組みが変わってくるのですが、ざっくり「要支援はあまり介護が必要ない人」、「要介護は介護が必要な人」という認識でよいと思います。私個人としては要支援と要介護を分ける必要はないと思ってます。ややこしいので・・・そして、要介護1~5で、5が1番介護を必要とするランクです。一概には言えませんが、寝たきりですべてのことに介護が必要な人です。なのでその分サービスもたくさん使えます。
どうやったら介護保険の認定はもらえる?
まず、市役所で手続きが必要です。その手続きの後に「認定調査」というものがあります。ケアマネージャー(介護支援専門員)という職種の人が、本人の歩行能力や排せつ動作などの日常の生活動作のレベルや、物忘れや理解力などの認知力などを調べます。そして、コンピューターにそれを入力します。そこで1次判定で、自立「非該当」、要支援1~2、要介護1~5のどれかが判定されます。
その後に、それをもとに介護保険認定審査会という会が開かれて、最終的に介護度を決めます。医師や薬剤師、理学療法士や作業療法士、介護福祉士や社会福祉士などの医師をはじめとする、専門職メンバーで話し合います。私もこの認定審査会には参加しています。「どれだけその方の介護に手間がかかるか?」ということが論点になります。
そして、そこで初めて介護度が決まります。認定の期間は6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月、36ヵ月、48ヵ月とばらつきがありますが、大体の方は12ヵ月です。また、介護度は見直すことが出来ます。例えばそこまで手がかからない要支援1だった人が、転んで歩けなくなったりしたらその介護度の区分を見直してもらって、介護度を変更することが可能です。これを「区分変更と言います」
どうやってサービスを使う?また使えるサービスは?
まず、介護認定を受けて介護保険サービスを使う時には必ず担当のケアマネージャーがつきます。そして、そのケアマネージャーが本人や家族から色々要望を聞いたり、情報収集を行い「ケアプラン(介護計画書)」をつくります。そこで初めて介護保険サービスが使えるようになります。なので、本人の希望で勝手に介護保険サービスを使う事はできません。
また、介護度がついても介護保険サービスを使わないと担当のケアマネージャーはつきません。介護保険サービスが必要なければそれはそれでいいのですが、ケアマネージャーがいないと必要な時にすぐに介護保険サービスが使えないので、気を付けて下さい。
介護保険サービスは「在宅系」と「施設系」と大まかに2種類に分かれます。細かい事をいうと難しくなるので、「在宅系」は家に住みながら使うサービス。「施設系」は施設に入居して介護を受けるサービスと思っていただければいいです。
「在宅系」には、デイサービスやデイケアといった、日中に食事や入浴付きでレクレーションやリハビリをしたりして家から通うサービスや、訪問介護や訪問介護、訪問リハビリなど、自宅に訪問して受けるサービス、またショートステイと言って、特別養護老人ホームや老人保健施設に2泊3日など短期間泊りに行くサービスがあります。
「施設系」は特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護医療院といった介護保険施設と呼ばれる施設に入居したり、グループホームや介護付き有料老人ホームなどに入居するサービスです。
サービスの細かい特徴などを書くときりがないので、聞きたい方は直接連絡ください。また、同じ種類のサービスでも、その事業所の取り組みによって変わってきます。なので、事前に見学したり詳しく各事業所に問い合わせることをお勧めします。
最後に
年々介護問題は深刻化しています。その中で「介護保険制度を知らない!」方が多く、介護を家族の力だけで担おうとする方もまだまだいらっしゃいます。ただ、夫婦共働きが当たり前になり、個人個人の生活の多様化が進む中、個々の家族だけで介護をするのは厳しい事も少なくありません。
「高齢者虐待防止法」という法律があります。この正式名称は「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援に関する法律」です。「児童虐待防止法」はこの「養護者に対する支援」というのはありません。擁護者とはお世話をする人のことです。
どういうことかというと、高齢者の介護は高齢者虐待は起こってはいけないけど、家族であれば特に虐待が起こりやす程大変であり、介護をしている人の肉体的や精神的な支援も必要ということです。
ですので、家族だけで無理をなさらずに、色々なサービスを使う必要があります。
介護保険制度を詳しく知る必要はありません。必要時は市役所や地域包括支援センターに相談するか、各施設にいる相談員に相談すれば大方何とかなります。必要と思ったら、気軽に相談に行きましょう。
今回はざっくりと介護保険について説明しました。細かく説明するとかなりの長文になります。何かしらお尋ねしたいことがある方は直接メールでも下さい。
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