加算ってなに?
「加算は国からのメッセージ」
と言う言葉を、何年か前の研修で聞きました。加算関係は、厚生労働省が介護に求めている取り組みです。厚生労働省の求める取り組みをしたところが、収益を上げることができるような仕組みです。
介護・医療は加算関係が収益になりますので、その施設の加算を知っておくことはメチャクチャ重要なことです。しかし、この加算内容を理解しているのは施設でも一部の人だけだと思います。
ケアマネや事務長、相談員や請求事務関係なんかしか知らない施設も事も多いと思います。私たちの施設は全職種知っています!と言うところがありましたらごめんなさい🙇
でも、まあ・・・知らない方もいますので、簡単に老人保健施設の加算と算定要件、金額なんかも簡単に説明させて頂きます。
介護報酬は単位が「単位」で表現されます・・・わかりづらい表現ですみません(-_-;)。医療の単位は「点」で表現されます。1単位=10円(地域によって変わります)で自己負担金額は、1単位が1円(1割負担の方)となります。介護保険からは、1単位あたり9円が給付されます。また、所得に応じて2割負担と3割負担の方もいます。ちなみに医療も1点=10円ですが、これは全国一律です。
ラポール吉井は従来型ですので、基本料金は従来型を記載します。
介護保健施設サービス費 (1日につき)
基本型 | 個室 | 多床室 |
従来型 | 従来型 | |
要介護1 | 714 | 788 |
要介護2 | 759 | 836 |
要介護3 | 821 | 898 |
要介護4 | 874 | 949 |
要介護5 | 925 | 1003 |
要介護1で多床室であれば1日788単位発生します。1割負担の方は788円の負担であり、施設には7880円の収入になります。老人保健施設は、薬やオムツ等の料金はこの基本料金に含まれる形になります。これを包括払い(マルメ)といいます。ですので、お薬代やおむつ代を別途で払う必要はないです。
言い換えれば、オムツをたくさん使おうが使わまいが、薬をたくさん飲もうが飲まないが、お値段は変わらないということになります。
在宅強化型 | 個室 | 多床室 |
従来型 | 従来型 | |
要介護1 | 756 | 836 |
要介護2 | 828 | 910 |
要介護3 | 890 | 974 |
要介護4 | 946 | 1030 |
要介護5 | 1003 | 1085 |
在宅強化型とは、在宅復帰率や回転率、居宅訪問の割合等で在宅復帰・在宅療養支援に関する評価の点数が85点中60点以上の老人保健施設のことを指します。
そして、これだけの加算があります。
加算 | 単位 | 内容 |
夜勤職員配置加算 | 24/日 | 夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たしていれば加算されます。 |
短期集中リハビリテーション実施加算 | 240/日 | 入所の日から3月以内の期間に集中的にリハビリテーションを行った場合に加算されます。 |
認知症短期集中リハビリテーション実施加算 | 240/日 | 医師が認知症と判断し、生活機能の改善が見込まれる者に、入所の日から3月以内の期間に1週に3日を限度として、集中的にリハビリテーションを行った場合に加算されます。 |
リハビリテーションマネジメント計画書情報加算 | 33/月 | 医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が協働し、リハビリテーション実施計画を入所者又はその家族に説明し、継続的にリハビリテーションの質を管理するとともに、厚生労働省にその情報を提出した場合に、加算されます。 |
初期加算 | 30/日 | 入所してから30日以内の期間に加算されます。 |
在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅰ) | 34/日 | 在宅への退所者の割合、入所者の平均在所日数、入所・退所前後訪問指導割合、地域貢献等に応じて加算されます。 |
在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅱ) | 46/日 | 在宅への退所者の割合、入所者の平均在所日数、入所・退所前後訪問指導割合、地域貢献・充実したリハビリの提供等に応じて加算されます。 |
栄養マネジメント強化加算 | 11/日 | 医師、管理栄養士、看護師等が共同して作成した栄養ケア計画に従い、食事の観察を週3回以上行い、入所者ごとの栄養状態、嗜好等を踏まえた食事調整等を実施し、厚生労働省にその情報を提出した場合に、加算されます。 |
外泊時費用加算 | 362/日 | 居宅における外泊を認めた場合に1月に6日を限度として加算されます。外泊の初日と最終日は加算されません。 |
外泊時に在宅サービスを利用した時の費用 | 800/日 | 外泊中に、介護老人保健施設により提供される在宅サービスを利用者に提供した場合、1月に6日を限度として加算されます。外泊の初日と最終日には加算されません。 |
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ) | 100/回 | 多剤投薬されている入所者の処方方針を介護老人保健施設の医師とかかりつけ医が事前に連携した場合に、退所時に加算されます。 |
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ) | 240/回 | かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ)に加え、厚生労働省にその情報を提出した場合に、退所時に加算されます。 |
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅲ) | 100/回 | かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ)とかかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ)加え、減薬に至った場合に、加算されます。 |
自立支援促進加算 | 300/月 | 医師が入所者ごとに自立支援のために特に必要な医学的評価を入所時に行い、対応が必要であるとされた者に、多職種が共同し、自立支援に係わる支援計画を策定し、支援計画に沿ったケアを実施した場合に加算されます。 |
排せつ支援加算(Ⅰ) | 10/月 | 排せつに介助を要する入所者に対し、多職種が協働して支援計画を作成し、その計画に基づき支援した場合に加算されます。少なくとも6ヶ月に1回、評価を行い、その結果等を厚生労働省に提出した場合に加算されます。 |
排せつ支援加算(Ⅱ) | 15/月 | 排せつ支援加算(Ⅰ)に加え、施設入所時等と比較して、排尿、排便の状態の少なくとも一方が改善するとともにいずれも悪化がない、又は、おむつ使用ありから使用なしに改善した場合に加算されます。 |
排せつ支援加算(Ⅲ) | 20/月 | 排せつ支援加算(Ⅰ)に加え、施設入所時等と比較して、排尿、排便の状態の少なくとも一方が改善するとともにいずれも悪化がない、かつ、おむつ使用ありから使用なしに改善した場合に加算されます。 |
褥瘡マネジメント加算(Ⅰ) | 3/月 | 入所者の褥瘡発生を予防するため、褥瘡の発生と関連の強い項目について、定期的な評価を実施し、その結果に基づき計画的に管理した場合に加算されます。少なくとも3ヶ月に1回の評価を行い、厚生労働省にその情報を提出した場合に加算されます。 |
褥瘡マネジメント加算(Ⅱ) | 13/月 | 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)に加え、施設入所の評価の結果、褥瘡が発生するリスクのある入所者について、褥瘡の発生がない場合に加算されます。 |
褥瘡マネジメント加算(Ⅲ) | 10/月 | 入所者の褥瘡発生を予防するため、褥瘡の発生と関連の強い項目について、定期的な評価を実施し、その結果に基づき計画的に管理した場合に加算されます。この加算は令和3年6月までで廃止となります。 |
経口維持加算(Ⅰ) | 400/月 | 摂食機能障害により、誤嚥が認められる入所者に対して、栄養管理するための食事の観察・会議を行い、経口維持計画を作成している場合に加算されます。 |
経口維持加算(Ⅱ) | 100/月 | 協力歯科医療機関を定めている介護老人保健施設が、経口維持加算(Ⅰ)を算定している場合に、食事の観察・会議に歯科医師・歯科衛生士・言語聴覚士が参加した場合に加算されます。 |
口腔衛生管理加算(Ⅰ) | 90/月 | 歯科衛生士が口腔ケアを月2回以上行い、介護職員に対し具体的な技術的助言及び指導を行い、かつ、口腔に関する介護からの相談に必要に応じて対応する場合に加算されます。 |
口腔衛生管理加算(Ⅱ) | 110/月 | 口腔衛生加算(Ⅰ)加え、厚生労働省にその情報を提出した場合に加算されます。 |
療養食加算 | 6/月 | 療養食を提供した場合に加算されます。 |
緊急時施設療養費 | 518/日 | 救命救急医療が必要な時に治療を行った場合に加算されます。 |
再入所時栄養連携加算 | 200/回 | 入所者が医療機関に入院し、施設入所時とは大きく異なる栄養管理が必要となった場合について、施設の管理栄養士と医療機関の栄養士と連携して、再入所後の栄養管理に関する調整を行った場合に加算されます。 |
所定疾患施設療養費(Ⅰ) | 239/日 | 所定の疾患にかかり、投薬、検査、注射、処置等を行った時に加算されます。所定疾患施設療養費(Ⅱ)を算定した場合は加算されません。 |
所定疾患施設療養費(Ⅱ) | 480/日 | 所定の疾患にかかり、診断及び診断に至った根拠を記載し、投薬、検査、注射、処置等を行った時に加算されます。 |
入所前後訪問指導加算(Ⅰ) | 450/回 | 居宅等を訪問して、退所を目的とした施設サービス計画の策定及び診療方針の決定を行った場合に加算されます。入所前後訪問指導加算(Ⅱ)を算定した場合は加算されません。 |
入所前後訪問指導加算(Ⅱ) | 480/回 | 居宅等を訪問して、退所を目的とした施設サービス計画の策定及び診療方針の決定にあたり、生活機能の具体的な改善目標を定めるとともに、退所後の生活に係る支援計画を策定した場合に加算されます。 |
試行的退所時指導加算 | 400/回 | 入所者をその居宅において試行的に退所する場合において、入所者の試行的な退所時に、入所者及びその御家族等に対して、退所後の療養上の指導を行った場合に、加算されます。 |
退所時情報提供加算 | 500/回 | 居宅への退所時に、退所後の主治の医師に対して、診療状況を示す文書を添えて紹介を行った場合に加算されます。他の社会福祉施設に入所する場合、社会福祉施設等に対して診療状況を示す文書を添えて、必要な情報を提供した場合も加算されます。 |
入退所前連携加算(Ⅰ) | 600/回 | 利用者が希望する居宅支援事業所又と、入居予定日前30日以内又入居後30日以内から連携し、退所後の居宅サービスまたは地域密着サービスの利用方針を定め、情報提供とサービス調整を行った場合に加算されます。 |
入退所前連携加算(Ⅱ) | 400/回 | 居宅支援事業者と連携し、情報提供とサービス調整を行った場合に、加算されます。 |
老人訪問看護指示加算 | 300/回 | 訪問看護が必要である場合において、居宅への退所時に訪問看護指示書を交付した場合に加算されます。 |
ターミナルケア加算 | 1650/日 | ターミナルケアを行った場合の死亡日に加算されます。 |
820/日 | ターミナルケアを行った場合の死亡日の前日・前々日に加算されます。 | |
160/日 | ターミナルケアを行った場合の死亡日の4~30日前に加算されます。 | |
80/日 | ターミナルケアを行った場合の死亡日の31~45日前に加算されます。 | |
認知症ケア 加算 | 76/日 | 日常生活に支障を来すおそれのある症状又は行動が認められることから介護を必要とする認知症の入所者に加算されます。 |
科学的介護推進体制加算(Ⅰ) | 40/月 | 入居者、利用者ごとの心身の状況等の基本的な情報を、厚生労働省に提出し、その情報・その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用している場合に加算されます。 |
科学的介護推進体制加算(Ⅱ) | 60/月 | 入所者、利用者ごとの心身、疾病の状況等の基本的な情報を、厚生労働省に提出し、その情報・その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用している場合に加算されます。 |
若年性認知症入所者受入加算 | 120/日 | 若年性認知症の方を受け入れ、ご本人・ご家族の希望を踏まえた介護サービスを提供した場合に加算されます。 |
地域連携診療計画情報提供加算 | 300/回 | 地域連携診療計画管理料又は地域連携診療計画退院時指導料を算定して保健医療機関を退院した入所者に対して、保険医療機関が地域連携診療計画に基づいて作成した診療計画に基づき入所者の治療等を行い、地域連携診療計画管理料を算定する病院に入所者に係る診療情報を文書により提供した場合に1回を限度として加算されます。 |
安全対策体制加算 | 20/回 | 外部の研修を受けた担当者が配置され、施設内に安全対策部門を設置し、組織的に安全対策を実施する体制が整備されている場合に、入居時に1回算定されます。 |
サービス提供体制強化加算(Ⅲ) | 6/日 | 看護職員、介護職員、支援相談員、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の総数のうち勤続年数が7年以上の者の占める割合が3割以上であること。 |
介護職員処遇改善加算(Ⅰ) | 39/1000 | 介護職員の処遇改善の基準を満たしていれば、所定単位に左の数字を乗じた単位が加算されます。 |
介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ) | 17/1000 | 介護職員等の処遇改善の基準を満たしていれば、所定単位に左の数字を乗じた単位が加算されます。 |
介護職員等 ベースアップ等 支援加算 | 8/1000 | 介護職員等の処遇改善・ベースアップ等の基準を満たしていれば、所定単位に左の数字を乗じた単位が加算されます。 |
個々の施設で取っている加算は変わりますが、老人保健施設で働いているのなら、「夜勤職員配置加算」、「短期集中リハビリテーション実施加算・認知症短期集中リハビリテーション実施加算」、「在宅復帰・在宅療養支援機能加算Ⅰ・Ⅱ」、「初期加算」、「口腔衛生管理加算Ⅰ・Ⅱ」、「経口維持加算Ⅰ・Ⅱ」、「療養食加算」、「所定疾患施設療養費加算」、「ターミナルケア加算」、「科学的介護推進体制加算」ぐらいは算定要件まで含めて覚えていた方がいいと思います。
また、「処遇改善加算」を頂いているのなら、「処遇改善加算」、「介護職員等特定処遇改善加算」、「介護職員等ベースアップ加算」なんかも知っていた方がいいと思います。処遇改善系の加算は介護報酬の規模によって変わります。
言い換えれば、売り上げが高ければ高いほど、処遇改善も上がる仕組みになっています。なので、処遇改善加算をたくさんもらいたければ、稼働率が高く加算をきちんと算定しないといけない仕組みになっています。
基本的に「収入=単価×人数」です。経営的にはこの「単価」を上げるのが「加算」ということになります。運営的には「単価」を上げることで「お客様のQOL」が上がるという仕組みになっています。
単位数が低くても、お客様すべてにつく加算は侮れないです。例えば「夜勤職員配置加算」は「24単位」で、施設収入としてはお1人当たり1日「240円」の収益があるわけですが、90人お客様がいれば、90×240=21600であり、1日に21600円の収益になります。
月計算すると、21600×31=669600円となります。2人~3人くらいフルで働く職員を雇えるくらいの額になります。しかも、夜勤のお客様の安全性も高まります。
そんなこんなで、加算のざっくり説明でした。
加算関係はある特定の職種だけでなく、全職種がある程度理解していた方が、経営という面だけでなく、運営的な・・・言い換えればケアやリハビリ、食事なんかの面でも役に立つと思います(/・ω・)/
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